喪女予備軍の戯言

適当なことを適当に言ってます。

推し声優が結婚した。

 

 
 先週の土曜日、推している声優が結婚を発表した。生放送のラジオ内での出来事だった。突然の報告に驚き、一抹の寂しさも覚えつつ、同時に知った彼の過去を悲しみながら、それでも幸せになってほしいと心から祝福した。純粋に、好きな人が幸せな現状がとても嬉しかった。
 
 最近の声優はアイドル売りが基本となっている。男女問わず「アイドル声優」というワードが頻繁に使用されるようになった。ライブ、ラジオ、雑誌の特集など、例を挙げていけばキリがないだろう。それに対して需要も供給も納得しているのだから、これはこれで悪くないのかもしれない。
 先日数年前に結婚していたことが発覚した声優がいる。彼はとても人気のある方で、知名度も演技力も高く、一般的にオタクと言われる趣味をもたない人間からも度々その名を認知されるほどの声優さんだ。だからこそ週刊誌は彼のゴシップを狙い、そして狙い通りに騒ぎとなった。
 タイムラインには様々な言葉が並ぶ。おめでとうございます、裏切られた気分、など賛否両論で、中にはもう結婚していてもおかしくない歳なのだから、という方もいた。確かにその通りだ。しかし騒ぎとなってしまった、そもそも彼が結婚を隠してしまった理由はその売り方にあるのではないか? そう、「アイドル売り」である。
 元々アイドルとは「偶像」「熱狂的なファンを持つ人」という意味があり、ここでは恐らく後者の意味合いが強い。職業アイドルと言われる人々は顧客に対し夢を見せることが最大の目標であり全うすべき責務である、と私は考えている。非日常から自分たちの日常に向けて元気や勇気をもらう存在、という持論だ。最近は声優に対してもそのあり方が求められていた。
 
 少し違う話となるが、二次元アイドルというジャンルが盛んとなり、結果的に声優という職種が表舞台に立ってキャラクターを演じることが増えた。最早それは声優という職業に求められるべき仕事ではない。それでも彼らは表舞台でキャラクターを演じ、観客はそれを求めてイベントへ足を運ぶ。主にその役割を担うのは若手声優であり、足を運ぶのは専らその(作品・声優本人問わず)ファンである。そういうやり方をしないとファンに受けないと企業側が認識してしまい、顧客側がそれを当たり前だと信じて疑わない需要と供給の結果である。
 少し前まではセット売りの方が盛んであり、声優同士が仲の良い様子をラジオ等で見せる売り方が主流であった。今もその営業は続いているが、アイドル売りほどでもないだろう。顧客は声優に対して夢を見ている。いつでも清廉潔白で、自分たちの思うままの彼らを求めてしまう。それは、声優ではない。それを求められてきたのはこれまでアイドルという職種の方々だった。
 
 結婚が発覚した声優は、同じ声優同士のユニットに所属しさもアイドルであるかのような売り方をしていた。彼に夢を見るファンが多くいた。実際彼が結婚してすぐの頃に報告していれば、今よりももっと荒れていただろう。
 彼が結婚を隠したことも、結婚をしていたことも何も悪くはない。悪かったのは彼自身に対する売り方だった。彼に夢を見ていた人間は少なくない。そうでなくとも、今回のようなバレ方をするくらいなら言って欲しかった、という人間だって多くいる。悪かったのは「アイドル売り」。彼が顧客に対しての虚像を作り上げていた営業方法にある。
 
 その状況がまだオタク趣味を持つ人間の記憶から新しい中、まだ若手である彼が結婚を発表することはいかに勇気のいることだっただろうか、と考えてしまう。同じ世代の声優に比べればまだ少ない方ではあるが、彼も多少はアイドル売りをしているようなところがあった。彼への祝福の言葉が多かったことに私はとても安堵し嬉しく感じたが、今でも「○○ 結婚 ショック」で検索すると他の同世代声優が結婚したらショック、と呟いているツイートが数多く見受けられる。
 彼の結婚発表を機に声優方の結婚発表がなされることを願っている。結婚したことを必ず報告してほしい、というわけではない。そりゃあ、下手に隠されてしまい後々最悪の結果で流出する、という事態になるよりかは本人の口から聞けたほうがどれほど良いかとは考えるが、そもそも結婚などプライベートの話なのだ。ただ、今の売り出し方で何らかの気兼ねを持っているのならばそんなものは気にしないでいただきたいし、そういう売り出し方をしている企業方には是非今一度考え直して欲しいと思う。
 
 我々は消費者だ。アイドル売りなんて最後は磨耗するだけの営業を行うくらいならば、少しでも貴社の商品が長く輝き続けていけるように努力して欲しい。……あのね、本音を言うとそろそろその商法には飽き飽きしてるのよ。女性声優なんてどんどん若くないと売れない市場になってきている。使い捨ての人形にするくらいなら、そんな消耗品のような扱いをするくらいなら、もう少し考えてよ。声優はアイドルにはなれないの。アイドルが良いなら、アイドルを好きになってるわ。演者である彼ら彼女らの演技こそみたい、ラジオを聴きたい。ただそれだけなのに、どうしてこうも使い捨ての道具のごとく扱っていくのか、与えられる側としては全く理解ができそうにない。
 
 演者も消費者も、どちらも納得のできる市場作りをそろそろ本格的に考える時期にきた。私は私の好きな人に、本来気にすべき点ではない部分で傷ついてほしくない。彼らは商品であるかもしれないが、同時に自分たちと同じ人間だ。消費者も、そろそろ目を覚まして欲しい。自分たちは最初、彼らに対して何を求め、どうして好きになったのか。
 月曜の朝、画面越しに笑う彼を見た。どうか多くの幸がお二方のもとに訪れますようにと、ただただ祈ることしかできなかった。